2018全日本選手権印象


金古選手にとって、全日本とはどのような大会ですか?
金古一朗選手「文字通り日本一の柔術家を決める大会です。全日本の冠が付いた大会は他にもありますが真の日本一を決める大会はJBJJFの全日本選手権をおいて他にはないでしょう」

実際、全日本ってどれくらいレベルが高いんですか?
「単純に出場者の数で言っても普段の2~3倍は出場しています。当然優勝するまでの難易度も2~3倍です。それに加え、大きな大会にしか出ないような強豪選手も皆この大会に照準を合わせてくるので、その他の大会とは比べ物にならない位レベルは高いですね」

全日本前の練習は、どのような感じでしたか?
「私個人の話で言えば普段からかなり練習はしていたので特に全日本前だから練習を増やしたりはしませんでした。ただ1ヵ月前から普段やってるトレーニングに加えスタミナ強化のためのサーキットトレーニングをやりこみました。本当にきつかったのを覚えてます。もうやりたくないですね(笑)」

金古選手の輝かしい全日本での戦歴において、印象に残った選手や試合はありますか?
「僕個人の話で言うと最後の全日本で一本負けした宮地選手は強かったですね。単純に1ファンとして印象に残っている試合は2013年の白木選手と細川選手の師弟対決ですね。あとは2015年に加古選手が宮地選手を破って優勝した試合も思い出深いです。あとは昨年の大塚選手と世良選手の試合での大塚選手の大逆転勝利は記憶に新しいですね」

今年のエントリーもなんかヤバイことになっていますが、今年はどのような大会になりそうでしょうか
「今年になって毛利部選手や渡邊翔平選手、山中健也選手等新たな黒帯が出てきて楽しみな対決が増えました。これら新世代の選手と芝本選手や細川選手、塚田選手などのベテラン勢がどういった勝負を繰り広げていくのか非常に興味深いですね」

全日本を4度制覇し、殿堂入りとなった金古一朗選手にこの大会についてお聞きしたものです。その頂きの高さが伺えるのではないでしょうか。

従って選手は、冒頭の江端講平選手のように、死に物狂いで向かってくる訳です。

サッカーW杯の何が面白いかって、レベル高いのはもちろんですが、名選手が手段も選ばず、必死になって勝ちにくる所が理由だと思います。ラクショーで勝てるという事がなく、誰も未来を予想できない。

どんなスター選手も最強チームも、一歩間違えば奈落に落とされる可能性が厳然と存在する恐怖が、逆に観衆の興味を猛烈にかき立てる。

全日本にも同じ種類の恐怖があり、そこ
が他の大会と一線を画す存在にしているのではないでしょうか。

注目だったライトフェザー級は、橋本知之選手が王者にふさわしい内容で3連覇。幕府を開くかどうかは分かりませんが、「橋本時代」は間違いなく到来。来年も優勝すれば殿堂入りの名選手に。個人的には、ムンジアル制覇イケると考えており、これからも目が離せません。

またその橋本選手と大激闘を演じ、今大会ハイライトの1つを作った加古拓渡選手の素晴らしさも特筆に値すべきでしょう。

試合前は幽鬼のような感じでしたが、加古選手がそこまで仕上げてくる大会が全日本。死ぬ直前まで仕上がった加古選手が無類の強さを発揮するのはみなさんもご存じの通り。

特に橋本選手との試合では、チアゴ・バッホとの激戦でも発揮された「どんなにピンチだろうとハーフで生還してポイントやらない」技術が炸裂していましたね。

この技術、みんな興味あると思いますので、1つ残らずDVDに詰め込みます!どうかご期待下さい!

また冨田尚弥選手のフレッシュな強さが目を引き、それと同時に井田悟選手の強さがホンモノである事も証明された大会となりました。新星とベテラン双方が持ち味を発揮する素晴らしいトーナメントでしたね。

西日本の熱い風
また今大会の特徴として、無差別の充実が挙げられます。無差別すなわちオープンクラスは、階級別の試合後に行われるため、疲労ややケガ、スケジュールの面から棄権する選手も多く、いざフタを開けてみるとトーナメントがスカスカだったというのは柔術の大会でよくあるパターン。

しかし今大会は、オープンを制して見事日本一となった関根秀樹選手を筆頭に、無差別込みで志向していた選手が大量にいたため、物凄く重厚なトーナメントとなりました。

この風潮は、西日本の選手達の存在が非常に大きいと思います。

西日本の黒帯選手は身体の大きい人達が多く、また元々無差別で暴れたくて大会に出ているという猛者が多いため、よっぽどでないと棄権という選択肢は無く、無差別ありきでスケジュールも立てて遠征している選手が多いですよね。
そして戦績も良いので、どうしても目立ちます。

そんな中、関東から仕事終わりに駆けつけ、無差別3位に輝いた櫻井健選手の活躍も光りましたね。

また色帯の優勝者では吉岡優幸選手、樋口翔己選手、井上啓太選手、そして大柳敬人選手の強さが個人的に印象に残りました。

苦しい中でも
そんな猛者揃いの中でも、MVPはやはりこの人でしょう。

仕事との兼ね合いで、好不調の波が非常に大きな選手ですが、そんなホブソンが「ものすごく練習して」(タミーさん談)準備してくるのが全日本という大会。本当に強かったですね。努力が報われた結果となりました。

また大会中ずっとご機嫌で、自分の試合も全然残ってるのに、やたらめったら周囲に話しかけ、これから対戦する選手にまで世間話を振る陽気なブラジリアンぶりを発揮。

真剣勝負の中にも和やかな雰囲気を持ち込み、それがマットを降りれば相手へのリスペクトという風潮をより強くしていました。文句なく個人的な大会MVPです。

それと、もう一人活躍した日系ブラジリアン選手がいますね。

アサダ・トシオ選手。(自分が写っちゃってすみません・・・写真が無くて)

この全日本で現役引退を決めており、それだけに集中力が物凄く、炎のような試合ぶりで全日本ライト級準優勝の素晴らしい成績をおさめました。

引退大会で、キャリアハイの成績。闘将にふさわしいエンディングですね。

個人的にアダルト黒帯戦線は、もっと大量に、20代前半くらいの若い選手の突き上げがあっても良いと思います。おそらく今頑張っているベテラン選手達も、それを望んでいるのではないでしょうか。名選手の有終の美に際し、それを埋める新しい存在を想像した、そんな大会となりました。

日本統一と三鷹の富士

日本最強決定戦

映画には当たりハズレがあり、20数巻に及ぶシリーズがウンコだった場合、我々は「時間返して!」と叫ぶことしかできません。

しかし柔術は違う。
柔術の日本統一戦は当たりしかなく、20数試合が過ぎようと、選手の咆吼に心を震わせ、ただ魂の叫ぶに身を任せるのみ。

それが全日本黒帯無差別という名のStory。
その日のDiaryに「蒲田」と書いたら、いざ大田区総合行進曲!!

第19次頂上作戦
日本の最高峰は富士山。しかしそこにK2が乱入したら?

その答えが関根秀樹選手。
2016年は柔術1人到達不能点と
化し、悠々日本一の座についた魔雲天。今年も再出撃で宇宙の法則が乱れるは想定内。

スタンダール「赤と黒」が貴族の紋章なら、「赤と白」は保守本流を表す。Red&Whiteの騎士白石勝紀選手と新鋭山中健也選手が対するはフレッシュオブフレッシュ!!

もう1つの山にはゲーリーノムライトこと野村洋平選手、櫻井健選手や伊東元喜選手と、中・重量級の強豪が立ち並ぶ剣が峰。夜の山は魔物がいっぱいだ!

無差別はやはり体格差が勝敗要素も、そこに忽然と登場するリヴァイ兵長平尾悠人選手が獲物を屠る狩人(イェーガー)。

平尾選手を筆頭に、軽量級が鋭い矢を放つのも無差別の醍醐味!!Win sind die Jager !!全てを貫いて征け(ゆけ)!!

一方の山は昨年度全日本無差別2位、MMAでもミノワマン選手を撃破し、グラジエーターのメインで勝利するなど、恐竜のように勝利を総取りする中村勇太選手が軸か。

体格差関係なしの武人高本裕和選手や茶帯で連戦連勝で体格も大きいトーマス・ミッツ選手も実力派。平間選手やKwon選手ら大きい選手が立ち並ぶ中、重量級の新星添田航平選手の活躍ぶりは、これからの大きい階級を占う上で重要な分岐点!!

来たれ若人!既存の生態系をかき回し、宇宙の理を変えてゆけ!!

三鷹電車庫跨線橋

「あれくらいの裾を持っている山ならば、少なくとも、もう一.五倍、高くなければならない」(富嶽百景)

青森県出身の文豪太宰治は、三鷹に居を構え、「富嶽百景」や「走れメロス」、「津軽」や「お伽草紙」など、彼の最盛期である中期傑作を書き上げました。

また彼は三鷹の陸橋から見える富士をとても愛し、駅前などをたびたび散策していたそうです。

お気に入りである三鷹の富士を、彼特有のひねくれた愛情から、ストレートに褒めることをあえてしなかったのが上の文章です。

同じく青森出身で才能を開花させ、近頃三鷹に新たなSpaceの場を設けた大塚博明選手も、あれくらいの実力を持っている選手ならば、全日本を1.5回取っていてもおかしくない筆頭。

炎のエナジートレアナパス塚田市太郎選手と新鋭山中健也選手等、楽しみな組み合わせを乗り越えて、反対の山は強豪軍団X-TREME EBINAの実行部隊長八巻祐選手、濱﨑喜仁選手、ベテランの水洗裕一郎選手らの勝者と戦い、三鷹(と荻窪)に美しいPhysical富士を見せることができるのか??

富士の向こうはピラミッドだ!!

日本の夏の意味

人が移り変わりて歴史となる
たなびく雲は、雨も降らせず足早に去り、目に刺さる陽の光と電熱器のような沸騰地面に反射し、全てが白濁に見える夏。

季節のかわる速さに、人は抗うすべなきと感じつつ、日本の柔術もまた移り変わり激しく、数年前とは技も顔ぶれもガラリと変わっている今日このごろ。

これが今年の、柔術日本一を極める人名帳。
https://www.jbjjf.com/entrylist/2018/all_ch19/entry_list2.htm
ここに日本一の名がある。ルース・ベネディクトよろしく「菊と刀」の粋を極めた柔術家が今年も決まる。

夏とは、そういう季節なのだ。
連綿と続く日本柔術の歴史の、一部となる季節なのだ。

熱された鋳鉄の如く、参加はあれよあれよと膨らみ、またも過去最高を更新。川は高きより低きへ流れども、流れに逆らってあがくが人の性。高きはより高きを目指し、時の流れを拒絶するのも選手の性。いずれ強者の願いが重なりあって、全日本という稀世の試し銘を打つ!!

Hashimoto Era
最強の存在
橋本知之選手が、三連覇を狙う。ゴルゴ13がM60マシンガンをぶっ放しているかのように精緻な連続攻撃で、相手が反撃に出る前に轟沈させる先制攻撃の妙!!!

2016年に平尾悠人選手を、2017年に鍵山士門選手を激闘の末に下し、現在2年連続の日本王者。その武を頼みに覇を唱え、激戦時代に終止符をうち橋本幕府設立なるか??

三連覇ともなれば、この時期は「橋本時代」として記憶されることは必定。ご本人は中央集権的存在に興味無さそうも、今年橋本選手が戦場を制すれば、周囲は長く強さの象徴として、その記憶に留めることになるでしょう。

しかしその睥睨に待ったをかける勢力。こちらのブロックでは、山田秀之選手、そして加古拓渡選手が龍虎か!!

奇しくも「誰でもパスマシーン」チアゴ・バッホの猛攻を凌いだ両者、違うのは悲願の初制覇を求める山田選手、橋本選手が台頭する前の2015年に全国制覇を成した新世代未来戦士加古選手。

両猛将共に世界の舞台で悽愴の月日を過ごし、山田選手は誰であろうと食い下がり食い尽くす粘り腰、加古選手は誰であろうと術中にハメる必殺のゲーム運びに研磨完了。現王者に噛みつく牙が疼きを上げる!!「喰わせろ、王者」!!

打倒橋本選手の一番槍は
一方のブロックは前年度準優勝の鍵山選手が軸でしょう。平尾悠人選手、そして江端講平選手が永遠の柔術暴威(BOY)。

昨年のベスト4軍団は、他選手から頭一つ抜けた強さが印象的でしたが、その一人である江端選手。鍵山選手と毎年激戦を繰り広げるも悪くない相性を見せる技巧派、爽やかBOYなルックスから解き放たれる野獣ムーブがマットで咆哮するGAPが打倒橋本選手を成すか?!

はたまた誰もが困惑する永遠のスタミナで試合を無限に遂行し、ハイテクガードとリヴァイ兵長ばりに巨人狩りを嗜好する相反なインプレッションGAPの鉄人が2016の借りを返すのか?

そして鍵山選手。トップからハリケーンのような攻撃を繰り返し、反撃には「不倒王」と呼ばれた強靭なベースで一蹴するラオウ的スタンス。王者になる資格はもはや十分、ライバルだらけの山を勝ちあがり、橋本選手の波状攻撃を受け切って、暴風攻撃を浴びせることができるのか??