山田悦弘選手と加古拓渡選手が魅せた!これぞ国内最高技術戦!・・・12月ドゥマウ東京パート①


昨年12月23日に行われたドゥマウ東京大会は、クリスマス期間にも関わらず超満員の選手&観客が詰め掛け、大賑わいとなりました。
そんな大盛況の大会ですが、特に注目度が高かったのがこの一戦です。

山田悦弘(ブラジリアン柔術スタジオ・パイシャオン)vs加古拓渡(GSB)


海外ではいわゆる下・下状態の事を「Double Guard」
両者引き込み合いを「Double Gurad Pull」と呼ぶそうです。


柔術の試合において、下になった選手の次の進路としてはサブミッションやスイープですが、上の人間はパスガードですよね。

ガード技術が異常発達した現在、スイープとパスでは明らかにスイープの方がやりやすく、また強豪と呼ばれる選手のスイープがほぼ防御不能の域に達しているため、多くのトップ選手は試合においてボトム・ポジションを選択するようになりました。

そして二人ともボトムを選択した時にお互い引かないと、そのままの状態で対峙するようになりました。
これがダブル・ガードが生まれた背景です。
ダブル・ガードとは、双方の技術が行き着くところまで行ってしまった結果であると言えるのではないでしょうか。

この試合はそんなダブル・ガード攻防の、現時点で国内最高度の素晴らしいものとなりました。


試合後7分くらいまでは加古選手による、ベリンボロからのテイクバックが冴えに冴えます。
加古選手が使用しているベリンボロは通常のものではなく、ミヤオ兄弟の使用で有名となった「ベリンボロ・ターボ」型


セミナーでもその難しさに多くの選手が驚いたこの最新型ベリンボロ、実戦用にまで仕上げている選手は、国内においては加古選手ただ一人と思われます。

1分8秒くらいなどで顕著ですが、相手のズボンを基点に順回転&逆回転を繰り返しながらガードをこじ開け進んでいく様はまさにドリルのよう!
回転自体を煽りにして、相手のヒザ裏めがけて飛びかかっていくという恐ろし過ぎる技術!

山田選手は自身も逆さになったりしながら、キワでこの攻撃を防ぎます。


ベリンボロとは不思議なもので、1回目の攻撃は防げても、2回3回と連発されるといつの間にか防御できなくなってしまうものです。
加古選手の高度な連発攻撃も物凄いですし、この波状攻撃をかわし続けている山田選手のムービングも如何に素晴らしいかという事ですね。

そして山田選手も隙を見て、自身の代名詞でもある技ホレッタを仕掛けていきます。
逆さになって相手の上に体を乗せていくムーブは非常に強力で、加古選手もヒヤっとする場面を迎えます。

しかし加古選手も、回転際の足間接という、抜け目無い極め技を狙い、見事アドバンテージを取得。


そして流血による中断を挟み、動画の10分過ぎから展開が更に変化します。

山田選手が勝負に出ます。
ダブル・ガードからスタンドを選択し、まずアドバンテージを取得。
ここからはパスガードを狙わなければなりません。
加古選手相手にそれは苦難の道ですが、山田選手は奮起して攻撃を仕掛けます。

動画の11分頃、加古選手がニーシールド・ガードでやや動きが止まっている所、ガードをヒザで緩めていって、腰を細かく切って一気に逆サイドにパス!!

X-パスのグリップによる、TTパスのトリアドール版のようですが、この回り込むスピードがとにかく速い!!!
追いすがる加古選手のガード足を振り切り振り切り、あわやレッグドラッグ完成という所まで追い込みます。
そして再始動!
加古選手の足をTTパスのように充分に潰してから、高速移動開始!!
あまりに高速で周回し続けるため、加古選手はガードが追いつかず、タックルで返そうとします。
加古選手のこうした対応は非常に珍しく、いかに山田選手のパス・スピードが高速であるかを物語っていると思います。

このパスはこちらの動画も分かりやすいので、是非ご覧になってみて下さい。


こちらの動画だと11分過ぎ、ガードを緩めながら腰をクイっとやって逆サイドに高速移動し、回りきった所で再び腰をクイっと今来た方向に戻して、レッグドラッグポジションを伺っているのが分かると思います。

こういう細かいの腰の動きを伴ったパス作業というのは非常に疲れるものですが、試合終盤にもかかわらず抜群のキレでそれをやってのける山田選手のコンディショニングは本当に素晴らしいですね。


この攻勢で山田選手はアドバンテージを取得。
加古選手はフルガードに戻して事なきを得ましたが、1つ目の動画11分30秒過ぎ、山田選手は再び高速パスを開始!
しかしこれは加古選手がガード足をまとわりつかせて、トリアドールの攻防にはさせません。

サイドを高速で駆け抜けるパスは、足長軟体スパイダー使いでもない限り、誰もが嫌なものですよね。
加古選手はそれを避けて、密着&スタック・パスの形にして対応します。

試合時間残り1分、さすがにやや動きが止まった山田選手のパスに対して、加古選手も反撃!!
得意のフック・スイープに行けそうな形を作ったりしながら、チャンスを伺います。

そして片巻きスパイダーのセットアップをゲットすると、アームドラッグ一閃!
そこから一気にバックに回り、更に腕十字の素晴らしいムーブ!
これは見事!!!!!
この仕掛けでアドバンテージを取得し、2-2に!
2つ目の動画の12分過ぎ、ヨースキ・ストー選手がこのハイレベルな攻防に大喜びしてしまっている姿が収められていますが、無理もありませんね。

双龍による螺旋の攻防は更に続く!
十字の解除際で押さえ込もうとした山田選手に対して加古選手は再びアームドラッグ!!
バックに回り込むも山田選手寸前でかわし、逆にハーフ押さえ込みを伺ったところで試合終了。
レフェリー判定の結果、山田選手が勝利を収めました。

両選手ともに「ホレッタ/腰殺しパス」「ベリンボロ」という、得意技を題目としたセミナーが大好評だった訳ですが、その評判通りお互いの必殺技を存分に出し合った物凄い試合でした。

加古選手は、特にダブル・ガードの攻防でバックに迫り続け、この分野での第一人者ぶりを改めて誇示。
その上アーム・ドラッグ等のマルセロ・ガウッシア的な体の入れ替えをするバックテイクでも優れた所を見せし、バック全般における実力の高さを大いに知らしめました。


そして山田選手、通常ライトフェザー級の選手であるのに、一階級上のトップである加古選手と互角に渡り合い、ファンに大きな衝撃をもたらしました。

先のチーム対抗戦でもKEDYSON軍として凄まじい強さを見せていた山田選手ですが、試合出場がそこまで多い方ではなく、またマスターで試合する事も度々であるため知名度が凄く高かった訳ではありませんでしたが、この一戦におけるインパクトはあまりに大きく、一躍国内PFP候補の一人と見なされたのではないでしょうか。

絶対逃げられないホレッタ・ムーブそしてもはや目視不可能な速度を持つ超絶ライトニング腰殺しパス、どれも一撃必殺の威力を持っており、まさに「強過ぎる」という形容がふさわしい山田悦弘選手ですが、2013年アブダビ・プロ日本予選もダントツの強さを見せて優勝。
昨年12月23日は、これから最も注目すべきこのPFP候補が、国内柔術戦線の先頭に立った記念すべき日であったと思います。